Boramimi Special / 2002年7月
インタビュー
後藤千枝さん(フリーランスジャーナリスト・「日本ケニア学生会議」代表)

「言葉、文化が違っても、心に根ざす核は同じ」。そう思う瞬間を共有したい。

「世界中を旅して、いろんな人と出会って、世界平和のために尽くそう」という信念を胸に、15歳から世界50カ国以上を飛び回り、国際交流活動を続ける後藤千枝さん。
この春、自ら関わるボランティア活動で3カ月間アフリカを奔走し、5月に帰国したばかりです。
後藤さんの豊かで多彩なその取り組みについてお話をうかがいました。


子どもたちに異文化交流の種をまいて、
大学生と社会に還元できるプロジェクトを実らせる

―今年の2月に、後藤さんが代表を務める「日本ケニア学生会議」がナイロビで開催されましたが、その活動について教えてください。

 まず7年前に友人3人で「日本インド学生会議」を設立しました。国際交流、国際協力を軸にした活動で、日本とインドの大学生が一緒に討論したり、意見交換しながらプロジェクトを組み、社会に還元できる活動をしています。そして3年前、同じ趣旨で「日本ケニア学生会議」を一人で立ち上げました。第1回目に行ったのが蚊取り線香プロジェクトというもの。体に害のある粗悪な蚊取り線香が出回っているので、日本のメーカーの協力を得て製品を届け、薬品の調査をしました。また象牙の不買運動のデモに参加したり、仕事のないスラムの人たちに職を持ってもらえるようにグリーティングカードの作成を指導するなどしてきました。

 年に1回、1ヵ月かけて開催する会議を、1年間の準備期間を経て、日本またはケニアで開催します。運営の中心となる実行委員、参加者は毎回募集し、全国の大学から参加を得ています。将来はアフリカ全土に広げていきたいので、今回ウガンダとタンザニアの大学に行って、その土台作りをしてきたところです。

―他にはどのような活動をしていますか。

 フランスで友人と始めたNPOで「REVE(レーブ)」、夢という意味ですが、世界各地を自転車で回って写真を撮ったり音を録音してスライドをつくり、小学校で上映するなど異文化理解を中心に活動しています。
写真
那古野小学校での交流会。みんなでアフリカのゲームを楽しむ。

 西区の那古野小学校では、大学講師のコンゴ人とケニアの留学生を迎えて交流会をしたことがあります。スライドを見て講義をしたり、アフリカのゲームをしたり。このような機会に心がけていることは、単なるイベントに終わらせないこと。あとから自分で調べたことや感想をまとめた文集を作ってもらいます。まず相手の国を知ることから始まるので、そんなきっかけづくりの種まきをしています。交流会をして一年以上経ったときに子どもに会ったら、あのとき教えたアフリカの民謡を歌ってくれて。子どもはスポンジのように吸収しますよね。

―後藤さんは子どもの頃、世界に興味を持つきっかけはありましたか。

 小学校の頃、母が通っていた英会話学校がベトナム難民を受け入れていて、同じ子どもなのに、何で日本人のお下がりを着ているんだろうとか、私たちは不自由ない暮らしをしているけど、一方では船に乗って逃げて来る人がいるんだと子ども心に感じていました。また父が単身赴任で沖縄にいて、ひめゆりの塔など戦争の跡を見に連れて行ってくれた。戦争や平和について考えさせられるきっかけはいろいろありましたね。中2の夏にはヨーロッパ旅行をして、国を越えると原語が違っていろいろな人がいるんだと実感、「これからの人生、世界中の人々に出会いに行くぞ」と強く決心しました。

 そして15歳の時に、論文で金賞を受賞して、世界平和シンポジウムに参加するためにバチカンに行きました。そのあともいくつかの賞を受賞して、中国やアメリカへ行く機会に恵まれて。高校時代は一生懸命アルバイトをして、学校を休んでヨーロッパに行ってましたね。

写真
名古屋の子どもたちが書いた絵などを持ってロサンゼルスの小学校を訪れた。絵を持っているのが後藤さん。
「ここの子どもたちの絵や写真を持って日本に帰りました。日本では、アメリカ人は白人、金髪というイメージが定着しているので、あえて韓国系アメリカ人の学校を選びました。アメリカに育った韓国人もいるんだよということを伝えたくて」。

続く >
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