ボラみみ スペシャルインタビュー  

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パンダクラブ代表 加藤小織さん
自分の暮らし、自分の生き方を問い直すこと。それが環境問題
写真は加藤小織さん
3人の子育て、農家の仕事のかたわらボランティアに励むパンダクラブ代表の加藤小織りさん。

名古屋に長年住んでいる人なら、きっと一度は遊びに行ったことのある東山動物園。
園内でパンダやコアラのぬいぐるみが、子どもたちとじゃれあったり、一緒に写真を撮っている姿を見かけたことはありませんか?
ただの人寄せパンダではありません。実は20年近く、WWFJ(世界自然保護基金日本委員会)の強力なサポーターとして、野生の動植物を守るための募金を続けている、その名もパンダクラブというボランティアグループなのです。
藤前干潟や海上の森など愛知県の環境保護にも取り組む、代表の加藤小織さんにお話をうかがいました。

縁の下の力持ちが出発点。ネットワークを組んで活動の場を広げて


― 加藤さんがこの活動に関わったきっかけを教えてください。

 高校2年生のとき、テレビ放映していた「野生の王国」が大好きでいつも見ていたんですね。番組の最後に、数秒のことなんですけど、WWFJの会員募集のテロップが流れて、それがずっと気になっていて、電話番号を記しておいて会員になりました。それで各地にWWFJを支援するボランティアグループがあることを知って、パンダクラブ愛知に入会しました。
 またNHKの番組「21世紀の警告」シリーズというので、密猟、海洋汚染、表土流出による農業問題など、世界には危機迫ることがこんなにあるんだということを知って、じゃあ自分はどうすればいいのか、何ができるのかと。そんな思いで活動に関わってきました。


― 最初は募金活動から始めたのですか。

 そうですね。WWFJは、絶滅の危機に瀕している野生動物を守るために、資金を集め、保護区を設立・運営したり、地球温暖化の防止や地域の自然保護活動に取り組む専門家などをバックアップするなど、さまざまな活動をしてます。私たちは募金という形でWWFJを通してその活動を支援しているんですね。助成金をつくるための、縁の下の力持ちなんです。 
 募金活動を始めた当初は、着ぐるみもなくて、募金箱を持って一日呼びかけてやっと1万円になるぐらいでした。WWFJの会員の人がみかねて、ボロボロのそれこそ灰色のパンダの着ぐるみを調達してくれて。でもそれで募金額もアップしましたね。


― 動物園の募金活動では、着ぐるみを着
て募金を呼びかける一日ボランティアを募集されていますね。


 はい。だいたい学生さんが7割、あとは子どもづれのお母さん、社会人の方など、老若男女大歓迎なのでいろんな方が参加してくれます。今は着ぐるみが4着ありますが、10人以上来てくれたときには、30分交代で入れ替わり立ち代り着ぐるみを着てもらって(笑い)。若い女性が「かわいーい!」って抱きついてきたりして、独身男性やおじさんは喜んでますよ。おとなしそうな人も、人が変わったようにハッスルしたりパフォーマンスしてくれたりね。
写真はパンダクラブの募金活動のようす
― 他にはどんな活動をしていますか。

 他の環境保護団体とネットワークを組んで活動することも多いですね。日本野鳥の会愛知県支部の有志の方たちと一緒に、密猟パトロールをします。このあたりだと瀬戸や豊田、小原村などの山に出かけます。車の音で気づかれて現場をおさえることは難しいですが、警鐘を鳴らすという意味で。
 それから藤前干潟を守る会に入っているので、参加団体とみんなで干潟のゴミ拾いをすることもあります。小っちゃい樹脂のつぶがいっぱいあって、それを鳥が食べてしまって、えさが採れなくなって死んでしまうんですね。気の遠くなる手作業ですが、やらんよりはいいという気持ちで。また海上の森では、年に1回ぐらい、観察会をかねてゴミ拾いをします。私たちの活動は感謝の言葉はもらえないけど、あるとしたら達成感かな。
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環境問題をつきつめると自分の暮らしにつきあたる。じゃあ、私達は何をすればよいのか。

           
― 加藤さんご自身が今、関心のある問題は何ですか。

 私の家は農家ですが、有機無農薬栽培をめざす「くらしを耕す会」が販売する食物の契約生産者になっているんです。大豆や切干し大根を作ってます。その会は、食べ物から暮らしを問い直そうということで、地域自給で安全な食べ物を提供しています。食べ物の問題を考えると、やっぱり環境問題が深く関わってくるんですね。
 例えばエビは、今インドネシアやタイのブラックタイガーが安く出回っています。これは日本の企業が現地の田んぼをつぶしてエビの養殖場をつくっている。より安くつくれる場所を見つけて、次々と新しい場所に。地元の人は一時大金を手にしますが、あちこちに残された養殖場は、エビを育てるために入れた海水のせいで、二度と田んぼに戻すことができなくなります。中国の輸入野菜も同じで、化学肥料と農薬で荒れた畑が残されているわけです。でもこういったことはあまり報道されないんですね。例えばテレビ番組で現状を知ることができても、じゃあ私たちは何をすればいいかは伝えてくれない。
 熱帯雨林の問題にも関心を寄せています。例えばインドネシアでは広大な面積が伐採され続けています。私たち豊かな国が家具建築などに消費してきた。だから国内の林業を盛んにして需要を増やすことが必要です。熱帯林の材木は安いので、値段で負けてしまう。今まで、天竜市で地元の木で学校の机や椅子を作っているという話を聞きに行ったり、林業の現状を知るために、東栄町の林業家の方に植林した山を案内してもらったこともあります。
― これまで環境問題に関わられて何を感じますか。
写真はパンダクラブでの活動の様子
 さまざまな環境問題をつきつめていくと、自分の暮らしにつきあたるんですよ。私はどう生きるかと問われるんです。
 でも環境問題をまともに言ってみても、みんなひいちゃうんですよね(笑)。他の人を巻き込むにはどうしたらいいか。ささやかですが、私の生き方、暮らし方を見てもらうことで賛同者を少しずつ増やして
いく以外ないかなと。近所のお母さんに、シャンプーするのも毎日だと髪が痛むよとか、手が荒れて困るという人には、石鹸なら大丈夫だよとか。少しだけ地球にやさしい暮らし方に変えることから始めないと、という気持ちでやっています。

インフォメーション パンダクラブ愛知
東山動物園で募金ボランティアに参加しました。深谷有希さん(16歳・高校生)

●「野生動物を守ろう募金」のお手伝い募集
 いい汗かきたい人、集まれ!
日にち 3月3日(日) 5月12日(日)
場 所 東山動物園内
申込先 パンダクラブ愛知
     刈谷市小山町1-301
     TEL/FAX:0566-21-9091
★パンダクラブでは会員も募集しています

●暮らしを耕す会の「朝市」に
  出かけてみませんか。
加藤さんが契約生産者として参加している会のイベントです。
有機無農薬野菜、アイガモ米、手作りパン、雑穀コロッケなど販売します。
日にち 3月16日(土) 10時〜12時
場 所 昭和区広路本町4-2
     TEL:052-851-7200

友達と一緒に参加しました。
着ぐるみを着るなんてめったにできることではないので、とてもうれしかったです。ただ立っているだけじゃなく、近くに寄ってきた子どもにポーズを取ったりするのは難しかったけど、初めての経験で楽しかったです。
また参加したい。」
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