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9月特集記事
今年、一度でも着物や浴衣の袖に腕を通したことはある?大人になって節分や七夕行事に参加したことは?お月見の由来をすらすらと説明できる?どれにも手が上がらない人、結構いるのでは。
衣食住という暮らしに欠かせない3つの要素から、確実に自国文化の影が薄くなりつつある今の日本。いくらグローバル化やデジタル化の流れに敏感でも、自国文化をまともに語れなかったら、日本人として情けない。
こうした時代だからこそ、注目したい団体がある。着物のフリーマーケットをはじめ日本文化に触れる機会を広く提供している岡崎市の『NPO和遊楽座』だ。団体の活動について、事務局長の浜田順子さんに話を聞いた。
「よくお似合いですよ」
姿見に映る着物を見つめるお客さんに人懐っこい笑顔を向ける女性は、取材に応じてくれた『NPO和遊楽座』事務局長の浜田順子さん。自身も、赤紫地にとんぼのような飛び柄の着物を小粋に着こなしている。
この日は、NPO和遊楽座の月に一度のメイン活動、リサイクル着物のフリーマーケット開催日。会場のせきれいホール会議室には、着物のほか帯、和装小物、和布など、ざっと500点が陳列されている。多くは個人からの委託販売か寄付で集めたもので、全商品に共通するのは、なんといっても破格の安さだ。布は500円からで、着物は1,000円から。1万円を超えるものにはめったにお目にかかれない。着物というと高価で敷居の高いイメージだが、これならためしに買ってみようかという気にもなる。浜田さんがこの日着ていた着物も2,000円で購入した古着だというから驚きだ。今や、スタート時間の午後1時には行列もできるほどの人気ぶりということだが、この品揃えと価格ならそれも納得がいく。
「着物って高価なものもありますが、本来は普段着なんですよ。着物の寿命が終わったら、糸をほどいて布団の皮になって、最後はおしめや布巾になる。着物は、そうして布自体の命を全うするまで使い切ってやるものなんです。それが日本人の知恵だったはずなんですけどね」
そう語る浜田さんが仲間たちといっしょに最初のフリーマーケットを開いたのは、今から4年前の平成11年。お母さんの影響で幼い頃から着物に慣れ親しんだ浜田さんが、「最近着物がごみで捨てられている」という話を小耳に挟み「リサイクルをして、なんとか着物の天寿を全うさせてあげたい」と考えたのがきっかけだった。友人や勤務先の同僚などの口コミで募集をかけると、「ゴミに出そうかたんすにこのまま入れておこうか迷っていた」という人たちからの着物が、実に100点も集まった。
「着物が意外と集まって、そしてまた意外と売れたんです」という最初のフリーマーケットは大成功。
その後、NPO和遊楽座の前身、『紗綾(さあや)』というグループが結成され、約半年に1回の割合でフリーマーケットが開催されるようになった。
にぎわうフリーマーケット
フリーマーケット用に集められた古着の着物
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