日本福祉大学から発信する
「チャレンジド」の精神
ホームへ/バックナンバー目次へ
ページ//
よりよい福祉サービスを目指す仲間が集まって
 現在事務局を担当している中心メンバーは、経済学部4年の向暉さん、社会福祉士の土肥克也さん、社会福祉学部3年の石川亜紗美さん。その他、理事や監事として、日本福祉大学の教授らも加わり、全部で約30名の仲間がいる。
事務局長の向さん  事務局長の向さんは、2003年度の日本福祉大学ビジネスプランコンテストの際、NPOに詳しい人を探していたことから知人を介して辻さんと出会い、「チャレンジド」に加わった。経済学部生ということで、経営面で辻さんを支えているというが、福祉に関して辻さんと同様に問題意識を持ってきた。親の影響で大学入学前からボランティアグループで活動をしていた向さんは、子どもたちと老人ホームを慰問する中で、自分の祖父と老人ホームのお年寄りたちとの間に違いを感じることがあったという。「もっと子どもたちと触れ合ってもいいはずなのに、施設のお年寄りたちと子どもたちには距離があり、施設は変なところだという印象を持った」。そこで福祉に興味を抱き、日本福祉大学に入学した。
 一方、事務局次長の土肥さんは、家業を継ぐために、以前は福祉とは全く別の勉強をしていた。しかし、親の勧めで選んだ道を進む中で、自分の本当の気持ちは何なのかと思い悩むことがあった。何か違うことをしようと始めたボランティア活動で高齢者や障害者の介護をしたとき、「福祉」という分野にこそ自分のやりたいことがあるのかもしれないと感じ、大学卒業後、専門学校で福祉を学んだ。卒業後、知人から辻さんを紹介され、辻さんのヘルパー兼事務局担当として2003年8月に「チャレンジド」に加わった。そんな土肥さんも、「施設には『利用者の生活は施設が決める』という側面があるが、「チャレンジド」では利用者の普通の生活に施設が合わせるようなサポートがしたい」という辻さんと共通の想いを持っていたそうだ。
  また、辻さんと共に初期の頃から活動している石川さんは、弱視という障害を持っており、障害を持つ立場でいろいろな意見を出す。大学では、友人やボランティアがテキストの音訳などをしてくれるそうだが、試験期間中など頼むのが困難な場合もある。そんなときは、公共の点字図書館に音訳を依頼するという石川さん。「この音訳サービスは、音訳されている図書を全国から取り寄せたり、自分の依頼で音訳されたものを他の人が利用することのできる素晴らしい制度。一方で、障害者手帳がないと利用できないため、片目弱視の知人や高齢者は利用できなかったり、この情報がまだ十分に知られていないという問題もある」と話す。
 さらに石川さんは、「チャレンジド」の活動のひとつである「バリアフリーマップ」の作成にも積極的に関わっている。このバリアフリーマップは、障害を持つ人が直接店や施設に行き、障害者の視点で作成することを心掛けている。バリアフリーの行き届いた店や施設はまだ地域に少ないものの、段差の程度や障害者向けの各種設備の有無といった情報は、障害者が安心して出掛けるためには不可欠なもの。また障害者だけでなく、高齢者や妊婦など、誰にとっても役に立つ情報なので、できるだけ多くの人に配りたいと話している。

前のページ/上に戻る/次のページ