ヒントをくれた職員さんの一言
重度心身障害者施設を作る会「風の会」では、名古屋市委託青年学級「ひこうき雲」として、月に一度、心身障害を持つ方々といろいろなイベントを行っている。今回の企画は「名鉄電車に乗って産業技術記念館に行こう!」。私はボランティアとして1日活動を体験させて頂いた。
当日集まった学級生は12人ほど。普段養護学校に通う生徒さんや、今は卒業し施設に通っている方々だ。一口に心身障害といってもみんな違う。とってもよくしゃべる子、言葉ではうまく意思表示できない子、車椅子の上でうれしそうに体を揺する子、ずーっと寝たままの子。その1人1人に施設の職員、ボランティアの方が1〜2人ずつ付き添い、あるときは一緒にはしゃぎ、あるときはそっと見守りながら、それぞれが楽しめるように心を配っていた。
最初はそんなみなさんの様子を見ながら「大変そうだなあ」というのが私の正直な感想だった。しかしそんな気持ちから湧き出た「意思疎通するのって難しくないですか?」という問いに答えてくれた職員さんの言葉に、この活動の魅力を伝える手がかりが見えた気がした。「確かに難しいよ。今でもわからないことも多いし。でも彼らは素直。いやなときは見向きもしてくれないし、うれしいときはうれしい顔をする。だから、そんな顔をしてくれたときはすごくうれしい」。
記念にメダルを作りました。自分が作ったメダルを手に満面の笑み。
「このボタンを押すと機械が動くんだよ〜」
実感した難しさ、与えてもらった感動
それまで遠目から見ているばかりだった私も、館内見学になってから介助を体験させて頂いた。担当の方に、「体を揺すってあげたり、声をかけたりして常にコミュニケーションをとるといいよ」と教えてもらいそのようにやってはみたが、やっぱり心を汲み取るのは難しかった。何かを伝えようとしているのだけどわかってあげられないときなどは、とても申し訳なく思った。でも初めて会う私にコミュニケーションを求めてくれたときにはすごくうれしかった。笑顔がこんなに力を持つ場ってあまりないかもしれない。心がいろんなものに覆われていないだけ、彼らの表情は1つ1つが輝きを持つようだった。
最後に、10年以上「風の会」でボランティアを続けている方の言葉をご紹介。「わかってあげられないときは一番つらいけど、そのときはそのとき。あまり深く考えないほうがいいよ」。なるほど、それが長く続ける秘訣なのかなあ、などと思いつつ、たくさんの感動をくれた学級生、ボランティア、職員の方々に感謝!の1日だった。
体験・文
ボラみ隊 小川明日香
普段は生物系の研究にいそしむ薬学生。
大学院生になって「何か新しいことを始めたいな〜」とボラみみの門をたたいて早10か月。
「毎回楽しく活動させていただいています」