−名古屋樟ライオンズクラブが掲げる新しい援助スタイル−
バブル型援助スタイルからの脱皮。
きっかけとなったのは、今からほぼ6年前、朝日新聞厚生文化事業団の紹介で、モンゴルの貧しい小学校に、必要な備品を送る取組みだった。当時の会長や幹事は、現地の状況を視察に行き、自らの目と足で、本当に必要な援助を確認し、帰国後その現状を他の会員たちに伝えた。そして、この取組みが実を結んだのを機に、クラブ内には「社会奉仕」の原点に立ち戻ろうという気運が、盛り上がりはじめた。国際舞台で展開されるNGO活動だけでなく、さらに国内のNPO活動へと、援助のすそ野は広がった。
樟ライオンズクラブも、バブル前後には、いわゆる話題性のある多額な寄付行為を次々と展開した。時代の後押しもあり、当時は、資金面にも余裕があった。たとえば、名古屋国際会議場に設置される時計台や、白鳥公園の庭園に掛かる橋には、樟ライオンズクラブの名前が刻まれている。しかし、時代は、流れた。そして、その変化の風をいち早く読み取ったのが、樟ライオンズクラブだったのだ。
もちろん、ライオンズクラブにとって、未知の領域であるNPO団体の援助を始めるには、さまざまな戸惑いがあった。この取組みに深く関わった深澤前幹事は、振り返る。「どのNPO団体にとっても、ライオンズクラブというのは身近な存在ではないんでしょうね。援助を申し出ると、『ライオンズクラブが、本当に私たちのような弱小団体に目をかけてくれるのか…』と疑心暗鬼な様子でしたよ」。だからこそ、幹事自ら、団体に足を運び、その現状を観察するということを、実践してきた。「現場を見ると、本当に必要な援助というものが見えてくるんです。劣悪な環境の中で、必死に活動する団体、それを支える人々の姿が、色々なことを教えてくれました」と、深澤前幹事。今では、ほかのライオンズクラブから、そうした取組みについての問い合せが増えてきた。
子どもたちに、本物のサンタクロースを。
名古屋樟ライオンズには、もう一つ、目玉の活動がある。子どもたちに、本物のサンタクロースと対面してもらうという企画だ。
クリスマスシーズンになると、フィンランド航空が、国営のサンタクロース養成学校で学んだ、いわば本物のサンタクロースを、国の親善大使として世界各国に派遣する慈善事業を展開している。このサンタクロースの招待を取りつけた樟ライオンズクラブは、一昨年と去年のクリスマス、来日したサンタクロースとともに、障害児施設、子育て支援サークルを慰問し、幼い子どもたちに、本物のサンタクロースと対面してもらう場を設定した。絵本の中でしか知らなかったサンタクロースが、白いヒゲをはやし、ゆったりとした歩き方で、子どもたちの前に登場すると、驚きと興奮が入り交じった、歓喜の声が巻き起こったという。
「サンタクロースを見たときの子どもたちのキラキラした目が、とても印象的でした。会場に居合わせたお母さんたちも心から喜んでくれてね。それを見ていたら、僕たちの方こそ感激しましたね」と、伊藤会長。今年のフィンランド航空のサンタクロース派遣は、米国同時テロの影響で今のところ未定だが、慰問施設の選定など、準備だけは着々と進めている。来年以降も、この事業は、樟ライオンズクラブの看板事業になりそうだ。伊藤会長は、続ける。「今は、夢のない時代と言われるでしょ。サンタクロースの慰問は、まさしくそんな時代にふさわしい夢の事業。次の世代に、夢を与えるのも、僕たちの使命なんですよね」。
名古屋樟ライオンズクラブの活動には、新しいだけでなく、ライオンズクラブが本来目指すべき「社会奉仕」の姿があるのかもしれない。
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名古屋樟ライオンズクラブ
会長
伊藤 光男さん
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