ところで、岸田さんがNPOに関わるようになったきっかけは何ですが?
初めてNPOという言葉を聞いたのは8年前、ある合宿の席でした。その時に自分がやりたかったのは「これだ」と、思ったんです。その頃、私自身は女性の再就職をテーマにした情報誌を発行したり、企業の人材研修やコンサルティングの仕事に携わっていて、特に女性を中心に「自分の力が生かせない」という声を多く聞いていたんです。それで、NPOは、そうした人たちが活躍できる場所になるのではないか、また、これからの時代、儲からなくても、社会で必要とされて、しかも食べていけるだけの報酬は手にできる仕事が求められるのではないか・・・と考えたわけです。また、私は「半分ビジネス、半分運動」というスタンスで情報誌の仕事に携わっていたんですが、NPOは、まさにそれとも合致したんです。

その後、どのような行動を起こされたのですか?
93年にアメリカにNPOの調査に出掛け、帰国してすぐNPOをテーマにしたセミナーを開催し、名古屋で最初のNPO「市民フォーラム21」の立ち上げに関わりました。一方で、企業とNPOのパートナーシップの必要性を感じて、当時は、パートナーシップ研究所という名称で、現在のPSCの設立準備に取り掛かったのです。約2年間の準備期間中に月1回のペースで例会を開催したほか、企業やNPOの人たちとアメリカに視察に出掛け、いろんな知識や情報を吸収しました。これが、今も続いているアメリカへのスタディツアーの最初でした。

企業サイドはNPOの活動にすぐに関心を示したのですか?
なかなかそういうわけにはいきませんでした。最初のツアーを企画した時も、人が集まらず断念しようかと思ったのですが、ある大手企業の常務取締役に毛筆でお手紙を書いたところ、タイミングよく企業の周年事業企画を考えているときで、そこからグループ会社に働きかけて下さってようやく実現したのです。私が企業で人材研修の講師をしていたことが少しは役に立ったのかも知れませんね。
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