野並発:もう一つの水害復興ストーリー
市民が始めた パートナーシップ(ふれあい) ことはじめ
2001年3月

痛ましい惨劇を生んだ東海豪雨は、一方でこの地域の市民活動を盛り上げるきっかけを作ったとも言われます。
そのひとつの例が、天白区の野並地域の取組み。 「水害復興」を掲げた一つのイベントを通じて、年齢、職業、性別など、さまざまな枠組みを超えた人々が地域に、元気を生む“場”を作るために力を尽くしました。
写真 もちつき
目的は元気を生む“場”を作ること
写真 ワクワクフェスティバル会場  2000年12月23日、地下鉄「野並駅」近くの東名自動車学校で、「水害復興 ワクワクフェスティバル」と名づけられたイベントが大々的に行われました。バザー、子どもの遊び、専門家による相談コーナー、また被災された方へのインタビュー記事の掲示などが主な内容で、家族連れなどを中心に3000人の人が集まりました。
 “天気になあれ!元気になあれ!みんなののなみ!”というのが、このイベントの合言葉。イベントは、名古屋市天白区野並周辺における「水害」の復興を目指すものでしたが、その目的は収益金を集めるというよりもむしろ、合い言葉にもあるとおり、元気を生む”場”を作るという点に重点が置かれました。

役所や町内会などの力を借りず、地域のいわばこうした企画には素人の皆さんが始めた点も特色の一つ。ひと月足らずの間に、80ほどの企業の協力を得、準備の段階から当日の運営まで、医師、弁護士、税理士、司法書士、建築士、デザイナーといった専門家から、バザーの達人、子ども遊びの達人などなど、200人を超えるボランティアに参加 してもらうことができました。 地域の「底力」が生んだイベント成功 イベントは多くの参加者に「良かったね」といわれ、成功のうちに終わりました。
写真 楽しそうな子どもたち

それを支えたのは、何といっても地域の人たちの底力です。さまざまなお付き合いの歴史、地縁といったものが「おたがいさま」という気持ちで一度にある方向に動き出すと、実に様々なチャンネルが活用され、起動することがわかりました。趣味やスポーツの同好会であったり、子どもの付き合いであったり、商売上の付き合いであったりというところです。
そうした底力を利用して”場”を作れば、人々の交流により自然に元気というエネルギーが生じます。主催者側、ボランティアは、”場”の提供、形成に参加する立場を守り、できるだけ介入しなかったのも良い結果に結びついたと思います。


今は、イベントに尽力した人々の間に「燃え尽きた」という感じがあります。こういうときに必要なのは、ちょっと一休みしながら、自分たちが何をしてどのような成果であったのか整理しておくことだと思います。日々の生活がありますので、今回のイベントは、これからのこと、いろんなところに影響することを考えなくてはなりません。 今まで野並にはこうしたイベントはなかったそうです。地域の人がやる場合には、生活の場を舞台にするわけですから、大勢の皆さんと向き合う時と、ふだんの自分の生活を両立させなければなりません。野並の人々から、次はどんなメッセージが生まれるのか楽しみです。

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