生徒数ゼロの危機を乗り越えて。
授業は土曜日の午前10時に始まる。「毎回10時には生徒がきちんと席に揃っているので驚いています」と話すのは、入門クラスを担当する伊藤清香さん。今でこそ継続的に生徒が参加しているが、実は安定して授業が行えるようになったのは、ほんの数年前からだという。「私が活動を始めた8年前には、教室で2時間生徒を待ち続けたときもありました。それに現在のように、学期の終わりまで多くの生徒が止めずに通い続けていることも珍しかったんです」と振り返る。
「ISC日本語の会」は当初、ISCに滞在する留学生とその家族を対象に日本語学習会を行う目的で始まった。しかし、留学生の中には日本語を学ぶ機会に恵まれている人もいて、なかなか生徒が集まらなかった。授業のシステムも現在とは異なり、レベルの違う生徒を同時に教えたり、文法と会話の授業に一貫性がなかったりと、生徒にとっては決して満足のいくものではなかったようだ。
「授業のシステムをもっと工夫しなければ」と、2年ほど前から、レベル別の担任制クラスにし、生徒の募集も広く行った。その結果、授業の質が上がり、今では逆に遠方から通ってくる生徒も増えた。「一時は無料だからかえって生徒もボランティアも続かないのではと考え、授業料をとることも考えましたが、今はそんな必要はなかったと思えます。お金を払っても来る人は来るし、来ない人は来ない。それよりも大切なのは、いかにいい授業をし、信頼関係を築くかということなんですね」。
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