スペシャルオリンピックス世界大会がついに開催!
500万人トーチランがつないだ勇気と笑顔
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「スペシャルオリンピックス(SO)」をみなさんはご存知ですか?知的発達障害のある人たちに日常的なスポーツトレーニングを提供し、自立と社会参加を応援する国際的なスポーツ組織です。日本ではまだあまり知られていない活動ですが、この2月、SO冬季世界大会が長野で開催されます。9月から日本各地で受け継がれてきたトーチ(聖火)が、いよいよ長野に灯されます! |
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アメリカのある家の庭から全世界へ広がった活動
SOの活動は、1963年に、故ケネディ大統領の妹ユニス・ケネディ・シュライバー夫人が、自宅の庭を開放して開催したデイキャンプが始まりだ。「知的発達障害があるために、プールで泳いだり、運動場を走ったり、雪や氷の上を滑ったことがない人たちにその機会を提供したい」。それが彼女の願いだった。「知的発達障害があっても、スポーツを心から楽しむチャンスが与えられるべきだ」という夫人の考えは、多くの人の共感を呼び、SOとして組織化され、全米から世界へと広がっていった。
SOの基本的な活動は、地域ごとに、日常的なスポーツトレーニング・プログラムをアスリート*に提供することだ。そしてトレーニングの発表の場である競技会が、地区大会から世界大会まで行われている。その中でも大規模な夏季世界大会は1969年に、冬季世界大会は1977年に始まり、オリンピックと同じく4年ごとに開催されている。今回長野で開幕する第8回冬季世界大会は、アジアで初めてのSO世界大会になる。現在160の国と地域で、120万人のアスリート、75万人のボランティアがSOのスポーツ活動を楽しんでおり、その成果を発表しに、ここ日本に集まってくる。
日本でSOの活動が始まったのは1980年のこと。特に注目を集めるようになったのは、1991年の夏季世界大会からだ。当時、熊本から参加した、ダウン症と難聴の障害のある10才のアスリートと、彼女を育てたボランティアコーチが体操競技で銀メダルを獲得し、多くの人々の感動を呼んだ。1994年、熊本を本部に「SO日本」が設立され、次第に日本各地にボランティアの輪が広がっていった。今では33都道府県で、約4,000人のアスリートと14,000人を超えるボランティアが活動に参加している。愛知のSOは、「愛知県でもSOを始めよう」と集まった仲間達によって、2000年10月に設立。現在は約200人のアスリートがいる。
SO独自の日常トレーニング・プログラムと競技会
SOのトレーニング・プログラムは週1回、8週を1単位として行われる。活動場所は、身近にある体育館、運動場、スポーツ施設などで、スポーツの指導はボランティアのコーチが行う。「スペシャルオリンピックス」の名称が複数形で表されているのは、この名 |
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称が大会名だけではなく、年間を通して継続的に行われているさまざまなプログラムを含めた活動全体を表わしているからだという。
競技種目も多様で、夏季競技としてサッカー、水泳、陸上、バスケットボール、自転車、体操、テニス、ソフトボール、卓球などが、冬季競技としてスキー、スノーボード、フィギュアスケート、スピードスケート、フロアホッケーなどがある。「知的発達障害がある人は、学校を卒業するとスポーツをする機会がなかなか得られない。SOのプログラムに参加しているアスリートたちが本当に喜んで、純粋にスポーツを楽しんでいている姿は、ボランティアにとっても力になる」と、SO愛知の事務局長、長屋さんは言う。SOのプログラムによって、アスリートはチャレンジ精神を身につけ、目標を達成する喜びを知り、ボランティアと交流することで世界が広がり、自立や社会参加につながる。その一方で、もっと多くのボランティアがアスリートたちと接し、喜びを共有することで、心のバリアフリーが進んでいくことをSOは願っている。
SOでは、プログラムを終了すれば誰でも競技会に参加するチャンスが得られる。勝つことよりも「日常トレーニングの成果を発表する場」という意識を大切にする競技会は、独自のルールで、到達度に応じたクラスに分かれて行われる。まず、SOの競技会では予選落ちがない。出場したアスリート全員が決勝に進み、最後まで競技をやり終えた一人ひとりの健闘を称え、全員が表彰されるのだ。そして、国や地域の競争という考えがないため、世界大会の表彰式でも国歌の演奏や国旗の掲揚はない。また、知的発達障害のあるアスリートと、アスリートの家族、ボランティアが一緒にパートナーとして競技に参加することができる。SOの精神は、純粋にスポーツを楽しむ大切さを改めて気づかせてくれる。
「SO日本・愛知の場合、日常のトレーニングにはまだボランティアの数が足りない。それでも世界大会に向けて行ってきた『トーチラン(聖火リレー)』には、多くのボランティアが参加し、多くの人にこの活動を知ってもらう機会になった」と喜ぶ長屋さん。「まずは一人でも多くの人が、長野に足を運んで、直接アスリートの姿を見て欲しい」。アスリートの勇気とひたむきに努力する姿、そしてボランティアのエネルギーを肌で感じる最高の機会になるのではないだろうか。 |
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スペシャルオリンピックス宣誓(スペシャルオリンピックス日本が国内大会で行う宣誓) |
Let me win. But if I cannot win, let me be brave in the attempt.
わたくしたちは、精一杯力を出して勝利をめざします。たとえ勝てなくても、がんばる勇気を与えてください。 |
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500万人トーチラン |
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「2005年SO冬季世界大会」を一人でも多くの人に知ってもらい、大会を盛り上げようと、世界中でトーチランが行われてきた。日本では、2004年9月にSO日本の発祥の地である熊本・阿蘇で採火され、全国の代表者に分火され、約半年に渡って全国を走ってきた。愛知県でも、2004年10月7日の江南市から始まり、約10の都市を回って、12月19日には中部国際空港のセントレアラインで、169人のアスリートと1,768人の一般ラン参加者が約450人のイベントボランティアに支えられトーチをつないだ。快晴の中、約30人ずつチームを編成し、約2キロの「セントレア大橋」を5区に分けて12本の聖火をリレーした。この聖火は、冬季世界大会直前にアテネで採火される聖火と合体して一つになり、長野の会場へと運ばれる。
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12月に「セントレア」で行われた「500万人トーチラン」の様子。 |
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4年前からSOの活動を応援している元スキー選手の荻原次晴さんも参加。 |
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愛知県からの参加選手
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今回、愛知のSOからは、4人のアスリートが世界大会に出場します。彼らの勇気を一緒に応援しましょう。 |
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写真左から
神野 峻輔さん(22) 種目:スピードスケート
「13日間長野にひとりで泊まります。大丈夫です。
エムウェーブで滑ります。応援して下さい!」
松田 雄大郎さん(17) 種目:スノーシューイング
「うでをふって、ももをあげて走ります。
がんばるぞ オー!」
山田 祐亮さん(18) 種目:フィギュアスケート
「世界の友達と一緒に食事をしたり遊んだりしたいです。
メダルが取れる様に頑張りたいです。」
村上 大さん(24) 種目:アルペンスキー
「世界の国の人と会えるのが楽しみです。
みんなといっしょに、スキーをします。がんばります。」 |
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●2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会‐長野● |
Let's Celebrate Together!(皆で集い、共に楽しもう!)をテーマに、約80カ国・地域から約2,500人のアスリートと約10,000人のボランティアが参加する国際大会が、今年は日本で開催されます。
開催時期:2005年2月26日(土)〜3月5日(土)の8日間 開 催 地:長野県 |
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●ボランティアを募集しています● |
スポーツ活動や事務局運営に参加して下さる方。特にスポーツ経験や知識は必要ありません。 |
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●アスリートを募集しています● |
アスリート(知的発達障害のある人)の参加をお待ちしています。ファミリー(アスリートの家族)の理解と協力が得られる、6歳以上の方ならどなたでもアスリートとして参加できます。 |
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