給餌台のある木の下に、半分に割れたクルミ殻が何個も落ちている。「かじり方でリスの成長がわかるんだよ」と北山さんがクルミを拾い上げると、給餌活動に参加したことのある子が「これは子ども、これは大人・・・」と一目で判別していく。小さなリス博士だ。
カゴはリスを捕獲できる仕組みになっていて、これまでに3回捕獲調査を行った結果、東谷山には8〜10匹のリスが棲息していることがわかっている。捕獲したリスに発信機をつけ、その行動を調べるテレメトリー調査も始めており、今年はその技術修得のための合宿研修を計画中だ。またリスの餌としてのキノコ調査研修会も予定している。
設置してある8台への給餌が終わると、体もあたたまって、樹間を吹きぬける風が心地いい。リス研では、ボーイスカウトや小中学校の子どもたちと給餌活動をしながら自然観察会を実施したり、年に4回、自由参加の観察会も開いている。ツリークライミングクラブから指導者を呼んで、木登り体験をしながら巣箱を設置することもある。
「今はいろいろな知識や情報がインターネットで簡単に手に入る時代。でも自分の足で歩いて自然や野生動物と直接触れ合う体験は何物にも代えがたい。こういう経験をした子と、していない子では発想に大きな差がでてくると思う」と北山さん。帰り道、初めて参加した子が「来週もやる?また来ていい?」と声を弾ませて言った。 |
オニグルミはリスの大好物。
食糧が不足する冬のために
土の中に貯食することも。
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