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子ども達や地域に夢と希望を与えたい ホームへ/
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- 市民ボランティアサークルONEの若者たち -
地元の大学生や若い社会人を中心としたメンバーで構成されるボランティアサークルONE。通う大学が違えば、将来の夢だって違う。ボランティアに参加した動機もさまざま。ボランティア活動を通して出会った普通の若者たちが、ともに、子ども達に“夢や希望を与えるお兄さんお姉さん”になることを目標に地域でさまざまな取り組みを進行中だ。地域活動に励む市民ボランティアサークルONEのメンバーたちの若い素顔を取材した。

子ども達との交流を求めて。
市民ボランティアサークルONE(以下、ONE)ができたのは今から4年前の2002年。ボランティアを養成するセミナーに出席した大学生や社会人の有志5人が「地域のために何か役立つことがしたい」という熱い思いを胸に意気投合し、立ち上げた。以来、地域のごみ拾いから始まり、栄クリーンアップと名づけられた久屋大通公園の大清掃、子ども達を対象にしたレクリエーション企画など、さまざまな活動を重ねてきた。当初は、ボランティアに関するノウハウや知識も乏しく、活動は手探り状態で進められていた。
しかしここ1、2年の間にメンバーの数は30名あまりに膨れ上がり活動が徐々に軌道に乗るようになった。トワイライトスクールでの小学生との交流が活動の柱になったことが大きい。代表、堀端耕成さんの自宅から程近い名古屋市立大坪小学校が、彼らの意図をくみ一昨年の4月から活動の場を提供してくれた。「子ども達に夢と希望を与えるお兄さん、お姉さんになる」「家族のようなあったかい関係を築く」というONEのミッションを体現するのにふさわしい機会となった。
子ども達との交流のツールは、トワイライトスクールの指導員からのすすめもあり、“ドッヂビー”に決めた。柔らかい布でできたフリスビーでドッヂボールをするのだ。堀端さんは、「これなら、遊びを通してチームワーク、社会の基本的なルールを子ども達に学んでもらえると思ったから」と語る。
土曜日の午前中、ONEの参加メンバー6、7名と小学校1年生から5年生まで20人あまりの子ども達が学校の体育館に集まり、ともに混じってドッヂビーで汗を流す。試合ができるよう2つのチームを編成し、それぞれのチームにONEのメンバーがつく。メンバーは、子どもを誘導したり意見を聞いたり全体のまとめ役をするリーダー、リーダーをサポートするサブリーダー、そして司会役の3役を毎回交代で担当する。思い通りにならない子ども達を前に、若いONEのメンバーたちは、毎回悪戦苦闘を繰り広げる。
“リフレクション”を通して成長につなげる。
トワイライトスクールが終わると、午後からONEのメンバーにはリフレクションというプログラムが待っている。いわゆる反省会だ。目標は達成できたか、自分が新しく得たもの・学んだもの、今後の課題を克服するためには、という3点についてそれぞれが専用シートに記入しチームごとで話し合う。書くときも話し合うときもメンバーたちの顔つきは真剣そのものだ。取材の日、代表の堀端さんのチームは、活動に参加してまだ日の浅い女性メンバーの梅村征代さんがリーダー役をつとめ、リフレクションでは、その話題が中心となった。梅村さんが、「自分はリーダーなんだという思いで頭が一杯いっぱいになってしまって、楽しむことが全然できなかった」と反省すると、堀端さんが「自分はいつもリーダー役をやることが多いので、今日はでしゃばらないように気をつけた。でも、親になったこともなければ教師をしたこともない自分たちがよくやっているなぁと思う」と受ける。さらに、司会役を担当した花城可光さんは、「子ども達にルールの大切さを教えようとしても90%は思い通りにならない。心をオープンにすればするほどカチンとくることも増える。兄のような視点が必要だと感じた」と振り返る。
リフレクションは、活動事体の反省はもちろん各メンバーが自分の内面を掘り下げていく作業のようにも見える。それを見て感心していると、メンバーの一人が語ってくれた。「ONE自身も僕ら個人もそれぞれ目標を持っている。そのためにはまず僕ら一人ひとりが成長しなければいけない。だから、この時間が活動の大きなポイントになるんです」。次回につなげるために反省する。そして目標も、毎回レベルアップしていくのだという。
若者にボランティアを根付かせたい。
ONEは、一般の若者たちがボランティア活動に興味をもってくれる場や機会を提供することも大きな目標に掲げている。その手がかりの一つとして、昨年度から他の学生グループとの共同でボランティア文化フェスティバルの企画と運営を担っている。それまで東京のみで行われていたイベントが全国に広まり、名古屋ではONEに白羽の矢が立った。今年度は昨年11月6日に開催、(財)青少年交流振興協会と共催する2度目のイベントとなった。
「ボランティアも昔に比べて普及はしたけれど、機会はまだ少なく、アルバイトや遊びに流れてしまう若者が多い。ボランティア活動の充実感や楽しさを広めたい」。そう語る堀端さん自らが実行委員長を務め、ONEのメンバー数名が有志で参加した。今年度はボラみみより情報局の織田元樹代表の基調講演のほか、若い人を中心に先駆的な活動をする団体の紹介や表彰、それにパネルディスカッションなどが行われ、昨年度に続いて盛況だった。
2回ボランティア文化フェスティバル
堀端さんにONEの今後について尋ねた。トワイライトスクールのほか、紙芝居などを通して子ども達に協調性や創造性を培ってもらう“ヒーロースクール”の企画を充実させ、さらに子ども達とともに過ごすキャンプを開催するのが夢だとか。「こんなお兄さんお姉さんになりたい、と子ども達に思ってもらえるような大人でいることが僕らの目標です。最近、若い人の間で残酷な事件が起こっているけれど、僕らが接した子ども達なら大丈夫、という確信を持てる関わりを目指しています」と堀端さんは結んでくれた。
資金面や主要メンバーの人材育成などONEの課題は山積みというが、若いメンバー一人ひとりの成長とともに、ONEもボランティアグループとして着実な進歩を遂げているようだ。
コ ラ ム
ONEメンバー 素顔のコメント
「もともとは自信もなく、マイナス思考の人間でした。でも、相手のために何かをしてあげよう、という考え方が芽生え、社会にも関心を持つようになった。去年、大学を卒業したが就職はしなかった。将来的にはNPOを立ちあげて、社会に影響を与えられるような存在になりたい」

堀端耕成さん/ONE代表
「高校生のときから貧困や難民問題に関心が深かった。俺がなんとかしないと、と思った。来年、カンボジアのNGOで仕事を探す予定。この頃、自分の周囲の人の幸せについて考えるようになった」 「小中学校の保健室の先生を目指している。子どもとのかかわりを学ぼうと思って、活動に参加しました」
花城可光さん/名経大4年生 梅村征代さん/大学保健室助手
「今の子どもを見ていて思うのは、自分のことしか考えられない子が多い。子どもが悪いんじゃなくて、教育が悪い。将来は、子どもにいい影響を与えられる教員になりたい」 「大学生になってすぐにONEと出会った。ここでの活動すべてが楽しい。視野が広がったと思う」
関谷悠介さん/南山大3年生 田中祐介さん/中京大3年生
INFORMATION

●市民ボランティアサークルONE
URL : http://www.geocities.jp/one_familiar/
E-mail : one_nagoya@hotmail.com
連絡先 : 090ー4793ー7744(堀端)
**ONEでは、随時メンバーを募集しています。興味のある方は、まずご連絡ください。