自然に仲間が集まって
高い天井には無垢の木の梁が渡り、広々とした土間のたたきに柔らかな光がさしこむ。自然の温もりにつつまれ、ゆるやかな時間が流れる空間だ。梶田さんが自宅の隣にこのギャラリーをつくったのは、4年前の2003年。
「50歳を過ぎて、生き方を変えてみようと。何でも自分できちっと計画を立てて行動するタイプだったけれど、これからは方向性をあまり決めないで、いろんな人と知り合って、いろんな人の声に耳を傾けてみようと思って」。そんな思いをのせてギャラリーはオープンした。子どもの頃から手先の仕事が好きで、40代のとき、さおり織りという手織りに魅せられ、自宅内に工房をつくり、創作に没頭した時期を過ごしたこともあった。
ギャラリーでは、自らの好奇心と確かな目で選んだ作品の展示の他、作家のワークショップやときには音楽会を開くなど文化を発信し、アーティストとの交流を育んでいる。「初めてギャラリーで音楽会を開いて、ささやかな収益があったんです。それを何かに使いたいと思って。それで春日井市民病院でコンサートができないかと。病気のときって、本当にいい音楽を聴きたいと思うんです」。そう話す梶田さんは、市民病院で長い入院生活の経験があり、特に音楽通というわけではないけれど、闘病中は、耳がいい音楽を求めていたという。「病院に何かお返ししたい、患者さんを励ましたいという気持ちもありました」。そして知り合いを通じて病院関係者を紹介してもらい、プロのバイオリニストにも快諾してもらい、とんとん拍子に話が進み、2004年12月に市民病院のロビーで音楽会を開くことができた。このことがきっかけで、仲間が自然に集まって、幼稚園や福祉施設などへ音楽をプレゼントする活動をしていこうと、ボランティアグループ結は生まれた。
「主なメンバーは12人ぐらい。音楽会やイベントがあるときは、ギャラリーに集まって、お茶飲みながらわいわい会議して。ときにはトランプやったり、手づくりの料理を囲んだり、みんなで大騒ぎして、すっごく楽しいですよ」。お互いの顔が分かり合えるちょうどいいサイズの仲間と、できること、やりたいことを楽しみながらやっている様子が、こぼれる笑顔から伝わってくる
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2004年12月
春日井市民病院で開いた音楽会。
全国で活躍する全盲のバイオリニスト、
穴澤雄介さんを招いて。
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