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■特集■ ボラみ隊が行く! ボランティア体験レポート編


ボラみ隊として様々な体験をしてきた2人のリポーターが、今回また新たな分野でいい出会いを経験したようです。 ボランティア活動を通して、日々の生活の中での当たり前のことに感謝の気持ちが芽生えたことがうかがえる2人の体験談は、 ボランティア活動の意義を改めて私たちに教えてくれます。

REPORT 1 傾聴ボランティア「さくら貝」
どんな話にも耳を傾け、心に寄り添うこと

■ 人の話に耳を傾けるボランティア

活動報告と事例検討の雰囲気のわかる写真です。

 日々の生活の中での色々な思いや悩み事など、誰かに話を聞いて欲しいと思う時はありませんか? 自分の気持ちをありのままに聞いてもらえるだけで心が軽くなる経験をされた方も多いと思います。 そこで今回は、人の話を聴くことを専門とする傾聴ボランティア「さくら貝」の活動に着目しました。
 「さくら貝」は2004年に発足、2009年現在の会員数は十数名、名古屋市を中心に活動しています。 主に高齢者を相手とし、会員はホスピスや有料老人ホーム、または在宅介護を受けている方の家に足を運び、 話を傾聴します。さらに、活動の充実を図るため、月に一度の定例会を熱田区社会福祉協議会で開催し、 活動内容の検討や勉強をしています。今回は、その定例会にお邪魔しました。
ロールプレイをしている写真です。  この日の定例会の内容は、活動報告と事例検討とロールプレイでした。 活動報告では新たなクライアントの状況を報告したり、会員がボランティア活動の中で感じたことや 悩んだことを打ち明けたりして、会員全員で問題を共有し、解決策を話し合っていました。 事例検討ではクライアントの資料をもとに、傾聴ボランティアとしての対応の仕方を議論していました。 ロールプレイでは、話し手役と聴き手役の2人が会話をし、他の人は聴き手である傾聴者を 観察して 気づいたことを討論していました。
「さくら貝」の活動の特徴は、とにかく傾聴に徹することです。 単なる「話し相手」ではありません。 クライアントと1対1で向き合い、 じっくりと相手の話をうかがいます。傾聴者は、クライアントの話に対して 自分の意見や助言を口にしたり、 価値観を押し付けたり、分析したりしてはいけません。 相手の気持ちに寄り添い、共感し、 相手の思いを受容することがボランティアの任務です。

■ ボランティア活動は自分自身の糧になる

 会員の皆さんに傾聴ボランティアの活動のやりがいをお聞きしました。「傾聴は相手の話を聞いてあげることではなく、 自分自身が多くのことを学ばせていただくこと。自分一人の人生経験は限られているけれど、傾聴をすることで色々な方の人生経験に触れることができる。」、 「様々な方の話をきちんと聴き、相手の言うことを理解するためには、自分自身の視野と心を広げることが大切。そのために、 日頃から身の回りの出来事を大事に受け止めるようになり、充実した日々を過ごせるようになった。」等のご意見をいただきました。

■ 傾聴による地域貢献を目指す

 代表の市原さんは「傾聴の裾野を広げたい。傾聴の質を高めたい」という思いから、県内各地の傾聴ボランティア養成講座の講師も務めています。 今後の「さくら貝」の目標は、傾聴する対象者の層を広げていくことで、高齢者だけではなく、病院に入院している方、介護をしている家族、 子育て中のお母さんたちの傾聴もしていきたいそうです。そして、傾聴によって地域の人々の心を癒し、安らかな生活を過ごすためのお役に立ちたいと 、傾聴ボランティアの方々は日々奮闘しています。

■ 団体紹介

傾聴ボランティア「さくら貝」
TEL/FAX:052-880-4583(9:00〜14:00)
E-mail:yokomind@wh.commufa.jp
担当:市原 蓉子
人の心に寄り添って聴くことは、自分自身の成長になります。是非、傾聴を体験してみてください。ご自身のペースで活動していただけます。

■ 体験・文

ボラみ隊 恒川 日出美
大学院の学生です。今回のボランティア経験を通して傾聴の意義を学ぶことができたことに感謝しています。

REPORT 2 みたけ・500万人の木曽川水トラスト
名古屋市の上流でボランティア!

■ 「水源の森・みたけ」

 今回私は、岐阜県御嵩町の「水源の森・みたけ」で活動する「みたけ・500万人の木曽川水トラスト」を訪ねました。 御嵩町は、名古屋市で使用する「水」の上流域にあり、以前、産業廃棄物処分場の建設の話があったところです。 よく晴れた5月の土曜日、集合場所である名鉄御嵩口駅付近の公民館に集まったのはスタッフを合わせ20名ほど。 いつもはスタッフの車数台に別れて移動するらしいのですが、この日は「なごや環境大学」の講座を兼ねているということで、御嵩町の大型バスでの移動でした。 15分程揺られて、森の入り口に到着です。
 山林の中を進んでいくのは、ちょっとした冒険気分。しばらく行くと、辺り一帯を木に囲まれた、活動の拠点となる小屋に着きました。  この小屋は皆さんが間伐材で作ったものだそうです。トラストメンバーの大沼さんはまず、初めての参加者である私たちを「水源の森」見学ツアーに連れて行って下さいました。 赤松・コナラ・クヌギにアベマキ・・・。道無き道を行き、山林の中で聞く、大沼さんの魅力的な話しぶりで語られる、水利権や日本の林業のお話。 木々を見上げながら聞くと、1つひとつのお話が身に染みてきて、感慨深い思いがしました。下流に住んでいながら、私は「水」がどこからやってくるのかについて、 あまり気にしていなかったとつくづく感じました。
なごやかにランチをしている写真です。  見学ツアーから戻ると、午前の作業を終えたスタッフも帰ってきていて、みんなで持参した昼食を頂きます。 参加者は魅力的な方ばかりで、自己紹介などで興味深いお話が聞けて、とても楽しいひととき。それに山の中で食べる昼食、 頂いたこごみの天ぷらや手作りのお味噌が、とても美味しかったです!

■ いざ、実践へ!

 午前だけでも十分に濃い時間でしたが、午後はいよいよ間伐・枝打ちに加わります。 木には倒れたがっている向きがあることや、安全ベルトの付け方などを習い、さっそく実践へ!
チェーンソーを使っての間伐をしている写真です。  まずは、木の枝打ちの体験でした。約10mのはしごと木を、安全ベルトでくくりつけ、木に登り枝を払っていく作業です。 木に登るのは思ったよりも恐くありませんが、木にしがみついてのこぎりで枝を切るのがとても大変です。 思い切り力を入れてのこぎりを挽くと、グググっと木が削れて木屑が舞い落ちていく。見上げるスタッフや参加者の方々の温かい応援。 よし、もう一踏ん張りと枝に向かいのこぎりを動かすと、徐々に切れ目が大きくなり、突然、太い枝がミシミシっと音を立てて落ちてゆく。その迫力が圧巻でした。
 その次に、幹の太さが手のひらほどの檜を切りました。のこぎりをまだまだ使いこなせず腕も疲れてきますが、 自分の切った1本の木が大きな音を立て倒れていくのもまた、迫力満点です。檜の濃い匂いのする生木を触り、生きている木を切っているのだと実感します。 この時期の檜の皮は簡単にめくることができ(それがとっても面白い!)、木が吸い上げたひんやり冷たい水分に、じかで触ることができます。
 少し離れたところでは、ベテランのスタッフがチェーンソーを使って作業をしており、次回はぜひ、それにも挑戦してみたいと思いました。

■ 上流に向ける目

 このボランティアで、スタッフの熱い「想い」に出会い、上流が切っても切れない身近な存在だと感じるようになった為でしょうか。 名古屋に戻って水道水をひねり出てくる水をしっかり大切にしたいと思うようになりました。下流は下流だけで成り立つことなど到底できず、「つながっている」こと。 それを実感しに、何より自然の中で思いっきり働いて食べるお食事や、スタッフの皆さんに会いに、ぜひまた「水源の森」へ足を運びたいと思います。

■ 団体紹介

みたけ・500万人の木曽川水トラスト
住所:名古屋市熱田区伝馬2-28-14 働く人の家
TEL:052-735-5453(平日10:30〜20:00)
FAX:052-735-5453
E-mail:mitake500npo@yahoo.co.jp
担当:市村
URL:http://homepage3.nifty.com/mitake/
木曽川上流の水源を守ることを目的に、岐阜県御嵩町「水源の森」にて間伐・枝打ちを中心とした山仕事を行っています。主な活動日は毎月第2土・日曜日。

■ 体験・文

ボラみ隊 伊藤 かほり
インターンを経て、ボラみみ歴約1年5ヶ月。現在大学4年で、英語音声学を専攻しています。走ることや一人旅など、アウトドアが大好きです!