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特集 目指すは豊かなコミュニティ。―地域住民とともに 『NPO まなびや@KYUBAN』

近年、社会の国際化が急速に進んでいます。日本でも約30年前に外国人の就労基準が改定されて以来、日本で生活する日本国外出身の人々が急増しており、その数は名古屋市で2万人以上、日本全体で約250万人にも上ります。地域社会でのコミュニケーション不足が叫ばれる昨今、NPO まなびや@KYUBAN(以下まなびや)は地域住民同士のコミュニケーション促進のための事業を展開しています。今回は実際に地域の子どもたちが訪れている教室におじゃまさせていただき、お話を伺いました。

九番団地という場所

写真 モール九番街にある「NPO まなびや@KYUBAN」の教室。

 まなびやの教室のある名古屋市港区九番団地では全戸数1,475戸のうち約3割が外国籍住民で、ブラジルやペルー・ボリビア・フィリピン・パキスタンなどの出身の方が居住しています。代表の川口祐有子さんは名古屋市内に転居された折、多様な文化圏出身の人々の住む九番団地に興味を抱いたそうです。団体設立準備のために活動するなかで、日本人と全く同じ授業を受ける外国籍児童への教科学習支援の必要性を実感すると共に、精神的支えを必要としている子どもに出会い、九番団地での活動を決意されたそうです。

多彩な活動

写真 教室内は常時20〜30名程の子どもたちでいっぱいです。

 日本語を母語としない就学前の子どもたちに日本語や小学校生活に必要な知識を教える「九番団地プレスクール」や、子どもたちが放課後の時間を自由に過ごすことができる居場所を提供してあげる「こどもの時間」、日本語を学びながら、日本で生活するうえで必要な知識を得ることができる、成人向けの日本語教室「STEPなごや」等を展開しています。これらのような様々な事業を通し、言語や価値観の違いのために地域社会が抱える課題を解決に導くための支援を行うことを目的とし、国籍・年齢・性差にかかわらず、すべての人が健康で豊かな生活を送れる地域社会の創造を目標に活動しています。

キーワードは「住民主体」

 スタッフの皆さんは「NPO まなびや@KYUBANはあくまでも地域のファシリテーター(決定権を持たない進行役)であり、主体はあくまでも住民たちである。」といった価値観を非常に大切にされています。スタッフのお一人は「“なにかしてあげたい”ではなく“一人でできるように”お手伝いしてあげること、見守ってあげることが大切なんです」と話してくださいました。親たちもまなびやのスタッフの皆さんを信頼して小さな子どもたちを預けています。このような姿勢も地域住民からの大きな信頼に結びついているのだろうと感じました。

「全部すき!」

 教室の雰囲気は本当にアットホーム。教室に来ていた子どもたちに「教室のいいところは?」と質問したところ、「全部がすき!」「友達と笑いあうのがすき!」と笑顔いっぱいでこたえてくれました。
 まなびやの教室には学校になじめないと感じている子どもも訪れ、普段学校では見せないような一面をまなびやの教室では見せてくれることも多いそうです。主な活動内容は先に記載した三つですが、実際には毎日のように子どもたち主催のイベント(お友達の誕生日パーティやハロウィンパーティなど)が開催されているそう。九番団地内に位置するこの教室はそんなエピソードもうなずける、とても温かい雰囲気でした。

■団体紹介 【NPO まなびや@KYUBAN】
愛知県名古屋市港区七番町2−11−1
E-mail:manabiya_kyuban@yahoo.co.jp
URL:http://www.manabiya-kyuban.org/

平成20年10月団体設立。 地域住民同士が「win-win」(双方がメリットを得、円満な関係で良い結果を得ること)の関係を創造できる豊かなコミュニティづくりを目的に様々な地域住民交流促進事業を展開しています。

 
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