4月と言えば、フレッシュマンがスマートフォンを片手に街を闊歩する時期でしょうか。iPhoneの登場以来、携帯電話からスマートフォンに乗り換える人が多くなりました。「ケータイは最低でも5年は使わないと」と日頃は節約している妻も、このところスマートフォンが気になるようです。
このスマートフォン。いち早く購入し、いろいろといじっているT君によれば、「電話やメールはもちろんのこと、ホームページの閲覧・文書作成・サーバーといった機能があることを考えると、電話というよりはむしろパソコン。しかも昔のパソコン以上の能力があり、基本ソフトウェア(OS)は、ほぼパソコンと同じ。ということはウィルス対策をしっかりしないと痛い目に遭う」とのこと。
調べてみると、確かに彼の言う通り、勝手に有料サイトに登録され料金を不正に請求される被害が発生しています。たとえ使用料金が100円でも、1万人が感染すれば100万円!簡単かつ確実にお金を請求できる仕組みなのです。今年1月には、個人情報や位置情報を盗み出したり、不正なプログラムをダウンロードさせるウィルスも発見されました。スマートフォンには電話帳をはじめとする多くの情報が記録されています。ますますセキュリティ対策が課題となり、スマートフォン向けのセキュリティ対策ソフトも各社から発売されています。購入と同時にその導入を考えた方がよいでしょう。
便利な道具が普及すると、必ずと言ってよいほど、それを悪用する人が出てきます。彼らは、新しい技術や道具のセキュリティ上の欠点(セキュリティホール)を解析し、それに対する攻撃方法を探ります。それが見つかると攻撃者同士で情報共有し、次々と攻撃を仕掛けます。私たちは十分な対処をする時間がありません。
以前、USBメモリでウィルスが蔓延したことがありました。それは、デジカメで撮影したデータをUSBメモリに入れてカメラ屋で印刷する際に、そこで感染するものです。まさかカメラ屋がウィルスをばらまくとは思っていませんでした。USBメモリの安全性についての盲点を突かれた攻撃です。スマートフォンも同じでしょう。携帯電話の延長と考えている方も多いでしょうが、スマートフォンはパソコンが携帯電話化したものと考え、適切な安全対策を講じ、USBとは同じ轍を踏まないようにしたいものです。
■PROFILE 【
会田 和弘 アイダカズヒロ 】
認定NPO法人イーパーツ常務理事 東京電機大学非常勤講師
1996年、大手プロバイダの子ども向けコンテンツの管理運営をきっかけに、インターネットに関わる。現在、企業から中古PCを貰い受け非営利団体へ寄贈するプログラムを実施すると共に、情報セキュリティの啓発と普及に努めている。
総務省「地域における情報セキュリティサポーター育成に関する調査研究」検討委員。慶応大卒。
著書:「情報セキュリティ入門」共立出版 2009。共著:情報ネットワーク法学会他編「インターネット上の誹謗中傷と責任」商事法務2005。