特 集 2000年11月

「世界の子どもたちが描くメッセージを伝えたい。」
            
子供地球基金中部事務局

「わたしの夢、わたしの人々の苦しみ」という一冊の本がある。  

1998年ユーゴスラビアのコソボ自治州の紛争で、祖国を追われ難民キャンプで暮す子ども達が、平和を祈って描いた絵が集められている。

添えられたメッセージには、「今体験している”悪”を二度と誰も経験しませんように」「大事な子ども時代をとりあげないで」「サイレンのない人生がほしい」・・・といった、心の叫びが綴られている。

昨年、この絵本を編集したのが、名古屋を中心に世界の子ども達の絵画展を開催している、子供地球基金中部事務局だ。子どもたちが表現する絵画を通して、世界平和を伝えるとともいに、地球的視野を持つ大人に育ってほしいという願いを込めて、活動を続けている。

世界を知り、異文化を認めあう心を

「絵を見ればその国の状態や子ども達が置かれている状況がわかります」と話すのは、中部事務局代表の斉藤紀夫さん。民族紛争の歴史をくり返してきた旧ユーゴスラビアから独立したクロアチアでは、1991年から95年にかけて激しい戦闘があった。当時の絵には、黒一色で銃に倒れた人々が描かれていたものがあったが、平和が戻った今では、教会やピクニックに出かける楽しい絵が増えた。また多民族国歌のオーストラリアの絵を見ると、多様な文化圏があることがわかる。

「子どもの視点から見た世界、生活を知ってほしい。そして、異文化を理解し、認めあい、敬う心を持ってもらえれば」と斉藤さん。

そもそも子供地球基金は、1988年に東京で始まったNGO活動だ。絵画展の開催の他、絵画をポスター、カレンダー、商品ラベル、テレホンカードといった各種カード用に貸し出して、それによって得た収益金で、画材、医療品、医療などを世界の子ども達に届けている。

中部事務局を設立したのは、1994年。メーカーの役員として働く斉藤さんが、当時、自社製品の商品ラベルに絵画を使用したのをきっかけに、活動に興味を抱き、「もっとたくさんの人に絵をみてもらいたい」と、名古屋を拠点にスタートさせた。

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