BORAMIMI SPECIAL |
2002年8月号
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「がんこおやじの会」のリーダー兼幹事長の伊藤さんは、46才で会のなかでは最年少。外資系の石油会社に勤める転勤族で、5年前に長久手町に引っ越してきた。 4年前の春、「一生ここにいるわけではないけれど、いる間だけでも地域と混ざり合いたい」という思いから、長久手町社会福祉協議会が男性を対象に開いたボランティア講座に参加。講座は、豊富な社会経験をもつ男性たちに、女性一辺倒のボランティア活動への参加を促すものだった。集まったのは、伊藤さんのようなビジネスマン、公務員、それに定年を迎えたばかりの男性などさまざま。共通点と言えば中高年であること、そして、地域のなかで何らかの活動をしたいという願望を抱いていることだった。伊藤さんは振り返る。 「自己紹介の中でそれぞれの境遇や想いなどを確認し合ううちに、とにかく僕ら男だけで面白いことをやってみよう、と盛り上がり、すぐに会を発足させることになったんです」。そして生まれたのが「がんこおやじの会」だった。 手始めの活動は、路上に投げ捨てられた空き缶やペットボトルを拾うこと。それが、まちづくりの基本だと思った。集団でやることもあれば、各自自宅周辺で取り組むことも。やがて、集めた空き缶の数は数万単位に上り、新聞などに取り上げられた。会は環境活動をするボランティア団体として、町内外から一躍脚光を浴び、県からは空き缶をつぶす器具の贈呈を受けるまでになった。 「今では、いろんな所から声が掛かりますが、地域のためになること、そして楽しいことが活動するかどうかの決め手です。団体の身の丈に合っていないことだったり、やってる本人が楽しいことでないと長続きしませんからね。」 がんこを貫くことが、ある意味ボランティアを続ける秘訣だと伊藤さんは説く。 |
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「がんこおやじの会」発足から4年。前出の空き缶拾いやもちつき隊のほか、男性のための料理教室、一人暮らしのお年寄りの支援、福祉施設の行事ボランティア、被災地での炊き出しなど、その活動は、とても8名の会員で運営されているとは思えないボリュームだ。伊藤さんは言う。 「当初は、男性だけの団体ということで、力仕事の依頼ばかりがきましたけど、徐々に内容も種類も充実してきました。同時に、自分たちで企画する活動も活発ですよ。最近は、半分うるさがられながら、でも確実に僕ら男性ボランティアの存在が市民権を得ていると思っています」。 そうした伊藤さんの手応えを裏付けるように、以前は県内でもほとんど存在しなかった男性によるボランティア団体が、ここに来て増加傾向にある。伊藤さんはさらに続ける。 「男性、特に会社人間できた人は、地域のことを知らない。だから、会社を辞めても地域に自分の居場所がない。地域は女性の場というのが頭からあるんですね」。その言葉通り、会に入会する男性は、自発的というより奥さんのススメで入って来た人もいるという。「でも、それでいいと思うんです。きっかけは何であれ、地域に無関心だった男性が少しずつ地域に溶け込んで、共に活動する場を作りたいんですよ。もっとたくさんのがんこおやじが、地域にいて欲しいですね。」 ただでさえ多種多様な活動に加えて、「がんこおやじの会」は、新しく、途上国の教育福祉分野に手を差し延べる取組みを実施中だ。車椅子の修理に携わり、タイなどに輸送する支援のほか、途上国の学校に鉛筆を寄付する活動などを始めている。今年は、「がんこおやじの会」の“かんごぶり”が、海外にまですそ野を広げることになりそうだ。 |
「がんこおやじの会」幹事長 伊藤敬一さん |
「がんこおやじの会」 ●現在、会員を募集しています。 入会希望のほか、会への要望や問い合せも受け付けています。 【連絡先】 〒480ー1141 愛知郡長久手町根の神801ー903 TEL/FAX : (0561)62ー8969 E-mail : keiichi.ito@kygnus.co.jp 伊藤敬一まで |
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