Boramimi Special / 2002年7月

インタビュー
後藤千枝さん(フリーランスジャーナリスト・「日本ケニア学生会議」代表)

マザーテレサの言葉に触れ、見えない力に導かれて

―ボランティアとの出会いはいつ頃ですか。

 ケニアの大学時代に孤児院や難民キャンプでボランティアをしていました。24歳の時ですが、身近な人を多く亡くして、生と死、生きる意味は何かについて深く考えさせられる出来事があったんです。その答えの糸口が見つかるのではないかと、インドでマザーテレサが営む「死を待つ人々の家」で、天に召される人たちの身の回りの世話をするボランティアをしました。

 そのとき、そこに長くいたドイツ人からマザーの言葉を聞いたんです。今、自分がいるのは、神からあなたへの贈り物だと、そしてあなたがどういう人物になるかは、あなたから神への贈り物だと。また、人間死ぬときに、その人生は、これまでしてきた仕事の量で量られるのではなく、どれほど自分がその仕事に対して愛情を注いだかで量られるべきだと。その言葉に、私自身、よりよい社会、よりよい世界に何か役に立つことをしようと強く思いました。

―後藤さんのそのパワーはどこからくるのでしょう。

 自分の人生を振り返ると、何か大きな見えない力に導かれているように感じています。私、霊感が強くて、天の声みたいのが聞こえてくるんです(笑)。実は15歳で受賞した論文の時も、締め切り間際に書き始めたものの、全然進まなくてあきらめようとしたときに「何もしなければ人生は何も変わらない。なぜあきらめてしまうのか」という声が聞こえて。それでとりつかれたように一晩で40枚近い原稿を書き上げたんですよ。

―世界を飛び回っての活動は苦労も多いと思いますが。

 どちらかといえば苦労の方が多かったですね。飛行機代、活動費は自分持ちですし、家族を犠牲にしてつらいなと思うこともありましたね。でも1度始めたら社会的に引き下がれない。いろいろな人が関わっていて、そのおかげで続いてきた部分もある。バランスをうまくとっていかなきゃいけないなというのはあります。楽しくなくては続かないので、これからは楽しいことに変えていきたいですね。

 いつも考えさせられるのが、ボランティアって、大きいことではなくて、朝起きたときから夜寝るときまで、24時間自分の周りにあるんですよね。道を歩いていて自転車が倒れてたら直すのも、電車で席を譲るのも、ちっちゃい意味のボランティアですよね。一番大事なことだと思います。

―今後の抱負を教えてください。

 今回ウガンダに入った目的に、学校を建てる道筋をつくることと、もうひとつ、ラジオ局をつくりたいなと。

 学校を建てると一部の地域しか潤わないですが、ラジオは本当に貧しい人でも持っているから、ラジオを通して学校の授業を聞いて勉強できるようにしたい。放送大学の小学生版、中学生版ですね。語学を含めて教育番組を開設することを約束してきたので、日本で準備にあたって、何とか来年実現したいと思っています。あとはウガンダで学校づくりや水源保護のスタディツアーを8月、9月に実施する予定です。

 内外を問わず、21世紀を担う若者の育成に努めたいし、言葉が違えど、文化が違えど、心に根ざす核の部分が同じだと思う瞬間を、いろいろな人と出会って共有したい。そして楽しく高めあっていければいいですね。

写真
2月の日本ケニア学生会議では、ナイロビで開催された国際人形フェスティバルに参加して文化交流にも努めた。1ヵ月間、施設、学校など30箇所以上で人形劇を上演した。
プロフィール 1969年生まれ。名古屋市出身。15歳の時、論文応募で金賞を受賞、世界平和シンポジウムに最年少で参加。高校卒業後、イギリス、ケニア、米国の大学で国際関係学を専攻。「日本インド学生会議」「日本ケニア学生会議」「REVE」などを創設、運営。豊かな国際経験を生かしてフリーライターとしても活躍中。


Information

●問合せ先
・日本ケニア学生会議・REVE
  名古屋市中村区名駅南1-20-1 NPOプラザなごや 1F
  FAX専用:052-581-5633
・日本ケニア学生会議  nsakura31@aol.com(桜木)
・日本インド学生会議 wachiko20@hotmail.com(綿本)
・REVE  gotochie@aol.com または 090ー8136ー3988(後藤千枝)
●後藤さんの豊かな体験を綴った本が出版されています。
  『見えない糸に操られ』(新風舎・1700円)


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