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◆ 特集 ◆  家のお手伝いするようにボランティア

宅老所はじめのいっぽ

◆ フツーのおうち

写真 普通のどこにでもある住宅が「宅老所 はじめのいっぽ」

 中村公園に程近い住宅地、その中に広い間口の倉庫と手作りの看板がかかった一軒家があります。 それが今回私が取材させていただいた「宅老所 はじめのいっぽ」。 見た目は「フツーのおうち」それ以外の何ものでもありません。 理事の野上さんにお招きいただき、中にお邪魔しました。 一階奥にある二間続きの和室が主な活動場所となっていて、今日の通所者であるお年寄りに迎え入れられました。 いわゆる介護施設とは違ったやわらかな空気。「○○さんは、タオルたたんでね。△△さんは、お洗濯物干して。」 いっぽの通所者には家庭と同じように役割があります。 もちろん、病状によりできないことはさせられませんが、家庭で「おばあ(おじい)ちゃん、〜しといてね。」 と依頼するのと全く同じ様子です。やわらかな空気の素は、当たり前の家庭の空気だったんですね。

◆ ずっと変わらぬ介護への思い

写真 エリンギをから炒りする調理ボランティア早瀬さん

 広い間口の倉庫、と思った場所は4月に車庫を改装したばかりの「おしゃべりサロン」。 毎日ではありませんが、ここで少人数の教室やおしゃべりをされているそうです。 そこで野上さんにお話を伺いました。 アパートの一室で通所者2人から始まった「はじめのいっぽ」は、もうその歴史が15年になります。 長い歴史の中、一つも変わらないのはそのスタンス。「9時におうちから預かって、おうちと同じ様にはじめのいっぽで過ごして、 18時までにおうちへ送り届ける」だから、「ご家族とのコミュニケーションも取れてます」という野上さんの言葉も、 「これからやってみたいこととかあります?」との質問に「ありません。このままでいます。」 との答えも、自信に満ちていて、爽快でした。 「すべての通所者ともっと関わりたい」という設立当初の理念は現在も薄れることなく、少人数での施設運営を続けていらっしゃいます。

◆ やってみなきゃね

写真 とても明るい通所者さん

 続いて、調理ボランティアの取材でキッチンへ。金曜日担当の早瀬さんに調理中にも関わらずお話を伺いました。 もうここでの調理ボランティアが8年になる早瀬さん。 定年退職後の金曜日、午後は習い事で午前中にボランティアを続けています。 今日のメニューはかしわうどん、なす・にんじん・エリンギのゴマ味噌和え、さつまいものレモン煮。 慣れた手つきでどんどん材料がその形を美味しそうな料理に変わります。 取材後いただいちゃいましたが、どれも絶品で通所者さんも「おいしい」と全部食べられました。「やってみないとわからんね。 最初のボランティアで内容や空気が合わないところに当たると、それ自体“楽しくない”となってしまいがちだけど、 次に自分に合うボランティアとめぐり合うかもしれない。 私はここだけじゃなくて、求められるうちはいろんなボランティアに行くよ。」 そのバイタリティに脱帽です。 フツーのおうちですからそんなにイベントはありませんが、年に数度、遠足や一泊旅行に出かけたり、バザーしたりするそうです。 ボランティアというより、家のお手伝いをするように、いっぽのやわらかい空気を感じるのも素敵かもしれませんね。

■ 【団体紹介】 特定非営利活動法人 宅老所はじめのいっぽ
「小規模で、相手の生活リズムに合わせた介護」を目的とし1994年に中村区のアパートで始まりました。 現在は中村区内の一戸建てを借り、1日約10名の通所者を4〜5名の職員で介護しています。
○【事務所】 名古屋市中村区藤江町3-41-1
○【電話】:052-461-1271 【FAX】:052-451-1291
○【月曜日〜土曜日】:9:00〜18:00

■ 体験・文 【ボラみ隊 田原】

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