こうした活動をするきっかけになったのは?

私自身、13年前に、乳がんをわずらいました。もちろん家族は大きな支えでしたが、でも、家族自身も苦しんでいる立場です。私の苦しい胸の内までは、なかなか受け止められないんですよね。家族がとても心配しているのがわかるから、私も逆に家族には話しずらかったりするんです。でも、がんという病気は、手術に成功したからといって、憂うつな気分が完全になくなるものではありません。常に再発・転移の不安がつきまといます。私も、当時、誰かに自分の思いを聞いて欲しかったって、切に思うんです。


それは、がんに苦しむ多くの患者さんが感じていることなんですね。


ええ。2年以上前に、末期がんの友人のために、アメリカ国立がん研究所が作成した進行がん療養のための冊子を、「一日一日を大切に生きる―――ガン療養の手引き」と題して翻訳したんです。それが新聞に取り上げられたら、日本全国から2万部近い申込みがあって、それぞれの方が置かれている状況を書いた手紙が添えられていたんですね。その時に、「ああ、やはりこんなにも多くの人が誰かに話を聞いてもらいたがっているんだ…」と身にしみて実感したんです。それで、この会の設立を思い立ちました。



設立にあたってはどういうことをされたのですか?

2000年の5月から1年間、会員に呼びかけて勉強会を開きました。がん末期の方の身体的な状況や心理的側面、傾聴の技術、臨床心理士を招いてのロールプレイングなど、この活動をする上で必要な事を、あらゆる面から学びました。最終的には、29歳の時にガンで亡くなった女性のお母さまに来ていただいてお話を聴き、その感想文を書いて、私たちのとらえ方を臨床心理士に見てもらい、指導を受けました。



 





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