患者さんのお話は、聴き手にも重い話ですよね?

そうかもしれませんね。でもだからといって、聴き手はその内容については、自分の家族にも友人にも一切打ち明けたりしません。唯一、月例の研修会を通して、会員同士でお互いの話を聞き合います。それで、私たち自身癒されるんですね。その研修会では、臨床心理士の先生を交えて、話しやすい相づちの打ち方をはじめ、聴き手としての技術の研鑚も続けています。ただ、その技術よりもやはり大切なのは、患者さんに対して「あなたは大切ですよ」という気持ちを一生懸命伝えることだと思っています。


開設からの9カ月を振り返って、今何を思われますか?

しみじみこれを始めてよかったと思いますね。多くの患者さんが、話の終りに「(電話を)かけて良かった」と言ってくださって、私たちの取組みが喜ばれていることを実感します 。また、何度も掛けてくださる方や「やっとこういう場所を見つけた」という方もいらっしゃって、そういう声を聞くと、本当に嬉しいかぎりです。

それから、私たち自身、電話を通して、多くのものを与えていただいたと思っています。元気な人にはなかなか理解しづらいことですが、病気はマイナスばかりではないんですね。患者さんたちは、病んで初めて、本当に大切なものが何かということを理解したり、自分の内に秘められた精神力の強さを発見されているんです。私たちは、そうしたことを、患者さんのを話を通して、教えていただいているんですね。 今後も、「共にいて、共に苦しむ」ことを目標に、がんに苦しむ患者さんや家族の方の声に、一生懸命耳を傾けていきたいと思っています。



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がん 心のケア ほっとライン
がんの患者さんやご家族,ケアを担当する方の苦しい胸の内を、電話を通して無料でお聴きしています。
毎週木曜・金曜 10:00〜16:00(祝日休み)
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「一日一日を大切に生きる〜進行がん療養の手引き〜」
毛利さんが翻訳した「一日一日を大切に生きる〜進行がん療養の手引き〜」(アメリカ国立がん研究所発行)。進行がんの患者・家族の心をケアするための小冊子で、1998年「あちホスピス研究会」が翻訳発行した。申込み希望の場合は、「がん心のケアほっとライン」で電話受付中。



 





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