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−水と緑を中心に、地球温暖化防止に取り組む―「雨水利用と緑化を進める会」− 今や「もったいない」という言葉は国際語。地球温暖化をはじめとする深刻な環境問題を意識し、持続可能な社会を実現させるためには、私たち一人ひとりが生活の中の「無駄」を見直していかなければなりません。NPO法人「雨水利用と緑化を進める会」は、水と緑の大切さを中心に、誰もができる環境にやさしい生活のヒントを私たちに教えてくれます。 |
30年間、水道代ゼロ。水の使い方は間違いだらけ。
屋外に設置された「雨タンク」
驚いたことに、臼井さんの家の水道代は雨水利用のおかげでこの30年間ゼロ円。
飲料用も雨水で、水道水は全く必要ない。自分たちの命の源である飲み水で車を洗ったり、
トイレに流したりするなんてもったいないと、自分で開発した、約150トンもの容量の沈殿・ろ過・貯水層を自宅に取り付けた。
「一家6人の暮らしでも、節水しているので一年ぐらいは雨が降らなくても大丈夫」と笑いながら、「
みんな水の使い方を間違えている。普段使用する水の98%は雨水で問題ない」と呼び掛ける。
臼井さんのように飲料水にまで雨水を利用しているケースは珍しいが、この雨水利用のシステムは、実はいろいろなところに活かされている。
例えば1987年に完成した名古屋のレインボーホールにも、臼井さんのアドバイスによって雨水利用のシステムが導入されている。
大型公共施設への雨水利用は、当時、全国的にも珍しく、行政などから多くの視察が訪れた。
また、「普段から雨水を溜めておけば、災害時にも役に立つ」と臼井さん。「災害時に一番困るのは水不足。飲み水に、流し水に、消火の水も必要になる。
神戸の震災でも、新潟の震災でも、雨水の導入を強く感じた」という。「屋根に降る雨を集めて利用すれば都市も水源になる」。この呼び掛けを今後も続けていく。
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試行錯誤で生まれた緑の屋根。驚くべき効果と反響。
「屋上緑化」。冬のため緑はまばら
「屋上緑化」というと、何か大がかりなイメージを抱く人もいるかもしれないが、臼井さんの屋上緑化は誰にでもできる手軽なやり方だ。
屋上に砕いた軽石を敷きつめ、そこへサボテンの一種の万年草と呼ばれる植物を植えるだけ。水やりなどの手間もかからない。
しかし、この方法を見つけるまでは試行錯誤の連続だったという。夏は強い日差しで焼けるように熱くなり、冬は冷たい寒風にさらされるという厳しい条件の屋上に合う植物が必要となる。
中学生のころから育てていたサボテンの耐久力に最初目をつけたが、水を吸って膨らみ屋根に負担がかかる。いろいろなサボテンで実験した結果、日本原産の万年草が適していることが分かった。
先端を切って置いておくだけで芽が出てくるという強い生命力があり、暑さにも寒さにも強い。また屋上の土壌も、土では重くなるため、軽いものがいい。
これも試行錯誤の末、鹿児島県の桜島の軽石が条件に最適であることが分かった。「この簡単な屋上緑化のおかげで、以前は暑くてたまらなかった二階の部屋で、クーラーを使う必要がなくなった。
冬も暖かい」と見事にその効果を実感。さらに、直射日光を防ぐことで屋根の劣化も抑えられるという。「自分のノウハウはすべて公開して、大いに利用してほしい」と話す臼井さん。
5年間の試行錯誤によるこの屋上緑化のシステムも、今では各企業で取り入れられている。臼井さんの試算では、名古屋市内のビルの屋上をすべて緑化すれば、CO2(二酸化炭素)を数%減らすことができるとか。
この実現も決して夢ではない。
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